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ピカチュウ虐待チュウ!

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【鬱系】ほどけて絡まって壊れまチュウ!#1

俺の名前はサトシ。マサラタウンに住む少年さ。
俺はポケモンマスターを目指して旅を始めた日から、ピカチュウってポケモンとずっと一緒に居たんだ。
ピカチュウは最初は俺のことを良く思ってくれなくて、電撃を喰らわせてきたりしたけども、今じゃかけがえの無い俺の相棒だ。ピカチュウだって俺のことをそう思ってくれてたんだ。





今から1ヶ月くらい前。ピカチュウと一緒にトキワの森を散歩してたら、悲鳴が聞こえてきたんだ。

その悲鳴はメスのピカチュウの鳴き声だった。俺みたいにポケモンマスターを目指してると、鳴き声だけでどんなポケモンか、オスかメスかが判るんだぜ。すごいだろ。

鳴き声の方へかけていくと、人間が仕掛けたトラバサミに野生のメスピカチュウが引っかかってて、見動きがとれない状態でスピアーっていう蜂ポケモンの群れに襲われていた。
メスピカは全身を鋭い毒針で刺されまくってボコボコに身体が腫れて、頭を抱えてうずくまり、ピィピィ泣き叫んでいた。
俺はとっさに自分のピカチュウに攻撃の指示を出してスピアーの群れを一蹴させた。一緒に最強を目指して特訓してきたピカチュウだから、スピアーの群れなんか相手にならなかったね。

メスピカは今にも力尽きそうな状態だったんで、うちで手厚く保護してやることにした。毒消しや傷薬を使ってあげたり、栄養満点のポケモンフードを食べさせたりとかね。
俺のピカチュウは優しいやつだから、ずっとメスピカの側にいて励ましてやったり、看病をしてやってた。
手足が動かないメスピカにスプーンで餌を食べさせて、メスピカが「ちゃあ…♪」って嬉しそうに鳴くと、ピカチュウは今まで俺に見せたことのないような優しい笑顔で「ピカピ♪」って鳴き返したんだ。
それを見た瞬間、普通のトレーナーなら暖かな気持ちになるもんなのかな?でも俺ったらさ、心の奥で黒い渦巻き…のような、とにかくそういうものがゆっくりと巻き起こったような、なんだかうまく言えないけど、そんな気分になったんだ。

一瞬だけだけどね。

メスピカの看病を1週間も続けたら、彼女はすっかり元気になってボコボコに腫れていた身体も元通りになった。人間でいうと、彼女は結構な美人さんだったようで、俺のピカチュウと比べて丸くてしなやかな身体つきなもんで人間の俺からしても「可愛い女の子」ってことがはっきりとわかった。
ピカチュウったら、元通りになったメスピカを見て「ピカァ…」って照れたような声で鳴いたんだ。
そしたらメスピカは「ぴかぴかちゅ…ぴかちゅ♥」っていって俺のピカチュウにキスしたんだ。
ピカチュウは茹でダコみたいに顔を真っ赤にして、モジモジし始めた。コイツは今までメスポケモンにあまり免疫がなかったからな…照れるのも無理ないよな。
俺はその様子を見てなんとなくつまらない気分になっちまったんだ。ピカチュウには内緒だけどね。

それから俺はピカチュウに、メスピカが元気になったからトキワの森に帰しに行こう、と提案したんだ。
だってそうだろ?メスピカはトキワの森で生活してたんだから、トキワの森に帰らなきゃいけない。俺だって友達の家や遠くに住むライバルとバトルしに行ったらちゃーんと家に帰ってくるぜ。当たり前だろ?

でも、メスピカはそれを拒んだ。涙目になって、俺のピカチュウに抱きついて
「ぴかちゃあぁぁ…!ぴかぴかぁ…!」って泣き出したんだ。俺はまた、心で黒い渦が巻き上がるのを感じた。
ピカチュウはメスピカを軽く抱きしめて背中をポンポンと叩いた。メスピカは更に強くピカチュウを抱き締める。泣き止む気配はない。
ずっと「ぴかぴ…ぴか…ぴいぃ…」って泣きじゃくってるんだ。

困り果てたピカチュウは俺に向かって
「ピカピカチュ…ピカピィ…ピカチャア…?」って言った。
渦が大きく巻き上がって竜巻のようになり、心を荒らすような感覚を、俺は一瞬だけ感じた。

俺はピカチュウになんて返事をしたのか、わからなかった。覚えていない。はっきりとわかることは、その日からメスピカは俺の家に住み着くようになったことだ。

ピカチュウとメスピカはそれからというもの、四六時中2人で生活した。朝ごはんも、散歩も、昼ごはんも、トレーニングの時も、夜ご飯も、お風呂も、寝る時も…。

メスピカはとにかくピカチュウに対して甘えっぱなしだった。メスピカは今まで人間の住処で生活したことがないから、ピカチュウが一緒になって色々と教えてあげなきゃいけないのはわかるけど、俺からしたら二十歳を超えた大人が親に朝、起きるのを手伝ってもらったり身支度を整えてもらったり、一緒の布団に入って子守唄を歌ってもらってるのを見てる感覚だった。

でも1番良くないのは、ピカチュウだと思った。メスピカの甘えん坊っぷりに対して、ピカチュウは嫌な顔ひとつ見せなかった。それどころか、今まで俺と過ごしてきた時よりも、ずーーーっと幸せそうな顔でいるんだ。

ピカチュウがそんなだから、メスピカは俺には全然懐いてくれなかった。多分、人間が仕掛けたトラバサミに引っかかったことが原因で、人間に恐怖心を抱いてるのかもしれない。そうだとしたら被害妄想が過ぎるぜ。俺はちゃんと仲良くなろうとしてるのに…。

だいたい、あの時トキワの森に散歩に行こうって言ったのは俺だし、悲鳴を聞いて真っ先に駆けつけたのも俺だし、ピカチュウに的確な指示を出してスピアーから救ってやったのも…俺じゃないか。看病してやってた時も、俺が餌をやってもブルブル震えて怖がっていたのに対して、ピカチュウがスプーンで餌を口に運んでやると、警戒することなく餌を食べた。
そんなメスピカとの心の壁を感じる度にも、俺は知らないうちに、心の中が黒い何かでいっぱいになっていた。

メスピカがうちに住み始めて2週間が経った。
彼女は最初と比べて、より一層ピカチュウにベタベタするようになった。
「ちゃあ♥ぴーかちゅ?ぴかぴかっちゅ♥」って言いながらピカチュウに抱きつき、頬を擦り寄せる。

「ピ、ピカァ…///ピカピカチュ…♥」

ピカチュウは照れながらも、頬を擦り返す。そのやり取りに俺はすっかりウンザリしていた。
メスピカは背後から俺の視線を感じ取ったか、こっちをチラリと見た後、ピカチュウを引っ張って別の部屋に言った。そこから聞こえてきたのは、2匹が楽しそうにじゃれ合う声だった。俺は面白くないので、自室でゲームをした。

その夜、俺は1人ベッドの中で眠れずにいた。メスピカを看病していた頃から、心の黒い渦みたいなものは大きくなっていくばかりだった。それどころか、その渦が俺の心の何もかもを荒らして、吹き飛ばして、空っぽにしていく感覚に陥った。ピカチュウはモンスターボールに入るのを嫌がるから、寝る時はいつも傍に居た。俺の相棒だから、ずっと一緒だった。
ても今、ピカチュウが居ない1人のベッドがこんなに広くて孤独に感じるなんて、初めて知った。俺のピカチュウは、メスピカとどこか夜の散歩に出掛けたのだろうか。もしかしたら、別な部屋で2匹一緒に眠っているかもしれない。ピカチュウだけ起こして、俺のベッドに呼びたいな。きっと喜んで来てくれるだろうな。そうすれば、ベッドは広く感じることはない。
俺の、いや、俺だけのピカチュウが一緒なら……

俺はベッドから降りて、部屋を出た。メスピカが起きないように、足音を立てないように、ゆっくりと歩いてピカチュウを探した。きっとピカチュウはメスピカの面倒を見て、疲れて、俺と一緒に寝たがってるはずだ。きっと俺がこっそり呼びに来てくれるのを待ってるはずだ。相棒だからな、それくらいわかってるぜ、ピカチュウ。
久しぶりにギューーーって抱きしめてやろうかな。ピカチュウ、びっくりするかもな。でも喜んでくれるだろうな。

リビングの入り口を開けた瞬間、2匹の鳴き声が聞こえた。まだ起きていたのか、と思うのもつかの間、その鳴き声に俺は違和感を感じた。

「……っ!…ぴ……かぁ………ち………ちゃっ……」

「ピガッ………チュッ………ピッ……ピッ……」

談笑しているわけでもない。喧嘩をしているわけでもない。なんだろう、この鳴き声は。今まで聞いたことがないピカチュウの鳴き声だった。一歩、また一歩2匹の方へ近づく度に、声が大きくなる。お互いとても興奮してるみたいだ。俺は2匹がいる部屋のドアを、音を立てずに静かに開けて中を覗いた。
俺は驚きのあまり、声すら上げられなかった。


2匹が、重なって、鳴いていた。



「ちゅっ…あぁっ…!ぴかぁぁっ!…ちゅあぁっ!ぴっ…!ぴかぁっ…!…ちゅうぅっ!」

「ピガピッ!!ピッカァァッ…!チュッ…チュウゥ!ピィカァッ!!…ッチュ!」

頭がおかしくなりそうだった。2匹が何をしているのか、わからなかった。わかりたくなかった。考えられなかった。
だって2匹は、重なったまま、揺れて、鳴いて、頬を擦り寄せて、揺れて、鳴いて、キスして、揺れて、揺れて、揺れて、鳴いて、キスして、揺れて、いるんだ。ずっとそうしているんだ。幸せそうにして、今まで見たことのない気持ち良さそうな表情で!

俺は気づかれないようにドアを閉めて、部屋のベッドに戻った。何がなんだかわからなくなった頭が、脳が、考えれば考えるほど複雑に絡み合って、俺をグチャグチャにしていった。声を圧し殺して鳴いていた。顔をつたう涙の熱さとは逆に、心は冷たくて、凍りついて、粉々に割れていく痛みに襲われた。
ここには誰もいない。俺しかいない。俺しか泣いていない。俺だけが、壊れそうになって、おかしくなりそうで、もうおかしくなってしまっているのかも、何もかもがわからなくなっていく。泣きながら助けを求めても、誰も助けに来てくれなかった。俺は1人だから、誰も来てくれなかった。誰も居なかった。
1人にしないで、助けて、誰か、居なくならないで、傍にいて、助けて助けて助けて助けて誰か、誰か、だれかだれかだれかたすけてたすけてたすけてたすけて誰か、誰か、誰か、1人に、しないで…

自分じゃない誰かが、絶叫していた。
なんだ、誰か…居るんじゃないか…。俺は必死で叫んでいるその「誰か」を抱きしめてあげようと、必死になってその人を探した。深く、暗い闇の底に、その人を見つけた。


…………自分だった。


心も感情も思考も、全てが、黒くて、静かに死んだ気がした。

俺の中のピカチュウも、ぜんぶ、しんだ。


#2に続く
  1. 2015/06/13(土) 03:36:11|
  2. 鬱系
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
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コメント

おお、新作お疲れ様です。
そしてありがとうございます
これからどうなっていくのか楽しみです。
  1. 2015/06/13(土) 12:27:02 |
  2. URL |
  3. 名も無き虐待師 #-
  4. [ 編集 ]

なんだか凄い期待できる作品
  1. 2015/06/13(土) 13:52:28 |
  2. URL |
  3. ななし #-
  4. [ 編集 ]

メスピカの台詞(鳴き声)はひらがなで
サトピカの鳴き声はカタカナなんですね
  1. 2015/06/13(土) 14:34:37 |
  2. URL |
  3. 名も無き虐待師 #-
  4. [ 編集 ]

めすぴかたそを虐めて欲しいです
  1. 2015/06/13(土) 20:05:46 |
  2. URL |
  3. にゃろ #-
  4. [ 編集 ]

久々の更新ありがとうございます。
続編楽しみにしております。
  1. 2015/06/14(日) 01:14:15 |
  2. URL |
  3. 名も無き虐待師 #-
  4. [ 編集 ]

新作待ってました。ピカ虐さんの小説が作品を重ねるごとに面白くなっていて、毎回読むのが楽しみです(*´∀`)
続きはありますか?楽しみにしてます。
  1. 2015/06/14(日) 01:35:16 |
  2. URL |
  3. ガジュマル #-
  4. [ 編集 ]

ピカチュウが糸に絡まってほどこうとしてもがいたらもっと取りにくくなってしまったがまたもがいて糸が体食い込んで大量出血で死ぬ話かと思いましたが違ったんですね!続きあれば見たいです!
  1. 2015/06/14(日) 14:29:29 |
  2. URL |
  3. 名も無き虐待師 #-
  4. [ 編集 ]

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